ついに本格的に暑くなる季節がやってきました。
成人の睡眠時間の目安は7時間前後と言われています。睡眠不足が続くと集中力の低下や体調不良につながる他、睡眠は熱中症予防にもとても重要です。
寝不足だと次の日の仕事中に眠気があるなど、悪い影響を感じることはありませんか?
夏場は夜とはいえ暑さと湿度が高い日が続くため、「暑くて寝付けない!」「朝までに目が覚めてしまい寝不足」と悩まれる方も多くなります。
今回は寝苦しい夏の夜を少しでも快適に過ごすための工夫をご紹介します。
【まずは深部体温の働きについて知ろう】
人間には、手足など体の中心から離れた部分の「皮膚温(一般的に言われる体温)」とは別に「深部体温」があります。
深部体温とは、生命維持や生存活動のための脳や臓器の働きを最も活発にさせる温度といわれており、体内の機能を守るために深部体温は外環境の影響を受けにくくなっています。健康な状態では深部体温の方が皮膚温よりも0.5℃から1℃ほど高く、およそ37℃前後に保たれています。
人間の体温は24時間単位で変動します。1日の中では朝が最も低く、しだいに上がり始め、夕方が最も高くなり、夜になると下がり始めます。夜は深部体温が適切に下がることで、深く眠ることができ、脳と体を休ませることにつながります。
つまり、寝つきを良くするためには、生活リズムを整えて過ごすこと、スムーズに深部体温を下げられるよう準備をしておくことが重要です。熱帯夜と言われるような、極端に暑さの厳しい環境では眠りにくいのは当然のことといえます。
【良質な睡眠をとるためのポイント】
1.入浴
暑い日が続くとシャワーだけで済ませてしまいがちですが、就寝の1~2時間前までに40度ぐらいまでのぬるめのお湯で入浴することで、自律神経を整え、深部体温を下げる効果が得られます。お風呂あがりには水分補給を忘れずに。夜間の熱中症を防ぐためにも大切です。
2.寝室を涼しくする
昼間に建物が暖められると、夜になって外の気温が下がっても、室温がなかなか下がらない場合があります。締め切った室内では、人の出す熱によって夜間に室温が上がる場合もありますので、適切に冷房機器を使用しましょう。
【エアコンを活用する場合】
人が快適に眠るためには室温は26度前後、湿度は50~60%程度の環境が理想的です。夏の夜に寝苦しさを感じるときは、エアコンの冷房やドライ機能を活用しても良いですが、身体の冷えや乾燥の原因にもなるので必要以上に下げることはやめましょう。
室内の空気を循環させるためエアコンに加えて扇風機を併用するのもよいですが、いずれも風が直接体に当たらないように注意してください。
【一晩中エアコンをつけているのが苦手という場合】
エアコンのタイマー機能を上手に活用しましょう。タイマー機能を利用する場合は、ベッドに入る前に予め寝室を十分に冷やしておくことがポイントです。
室内の環境にもよりますが壁や天井からは昼間に溜まった熱が一晩中放出されています。まずは溜まった熱を冷やしておかなければ、タイマーでエアコンが切れた後に部屋の温度が上昇してしまい、深夜から明け方にかけて寝苦しさを感じたり、目が覚めてしまう原因となります。
また、良い睡眠を得るためには眠り始めてから最初の3時間に体の深部体温を効果的に下げる必要があるため、タイマー機能を利用する場合は就寝から最低でも3時間以上経った頃にエアコンが切れるように設定すると良いでしょう。
3.寝具・衣服の選び方
汗が蒸発できず蒸れた状態は寝苦しさの原因となり、睡眠を妨げます。
寝衣の素材は吸水性にすぐれた麻や綿が汗を吸いやすく、体温調節に適しています。エアコンをつけたまま眠る場合は冷えを防止するために薄手の長袖と長ズボンを着用するのがいいでしょう。寝具も通気性のよい素材を重視し、薄手の夏掛け布団などを利用して冷えを防ぎましょう。